ホンジュラスの今回の一連の出来事について

元大統領を支持する教員達によって職場である教育省が占拠されているので、今日も自宅待機。1日スペイン語CNNを見ていたんだけど、今日はパフォーマンスの一環ではあるものの、元大統領が陸路で国境を超えようとしたため緊張が高まり、CNNのほとんどはホンジュラスのニュースだった。

国内では、中上級階層がクーデターを支持し、貧困層が元大統領を支持するという構図だが、世論の大半は暫定政権を支持している。連日続いているデモや大規模な集会も現政権支持者のものがほとんどで、元大統領支持派は姿を潜めていたのだが、本日元大統領が陸路で帰国する動きが高まり、しばらく姿を見せていなかった元大統領支持派が国境に集結。元大統領が国境の鎖を持ち上げて一瞬ホンジュラス側に足を踏み入れたときは、国境地帯が騒然となった。これに対し、暫定政権は全国に発令されている23:00〜4:00の外出禁止令を、国境を含む4県では本日の正午12:00〜明朝6:00までと発令。これらの地域は、明日も明後日も終日の外出禁止令。国全体がざわついている。でもこれは単に元大統領支持派が国境に集結しないよう、もしくは集結した場合国が定めた外出禁止令に反しているという理由で逮捕しようとする暫定政権の意図の表れだ。一方で、クーデター政権を擁護するわけにいかない国際社会を味方につけていた元大統領は、対話による解決を無視した今日のパフォーマンス的行動により国際社会からの非難を浴びることになり、自分で自分の首を絞めている。権力を見せつけたいというエゴが冷静な判断を失わせているのだろう。カウボーイみたいなウェスタン帽まで被っちゃって。

民主主義は「民を主にする」と書く。でも、違法と知りながら権力で憲法改正選挙を強行しようとした元大統領も、クーデターで元大統領を国外に連れ去った暫定政権も、私からすると民主ではない。本当にホンジュラス人の民意を考えたらここまで違法な政治は行ってこなかっただろうし、軍が介入したクーデターだって行わないはずだ。今回起こった一連の出来事は、ホンジュラスの政治がいかに民意を無視して権力誇示に走っているかを社会に示しているように私には感じられる。一番の被害者はホンジュラス国民だ。

元大統領がこれまでにしてきた様々な汚職違憲は許されるものではないけれど、だからといって、元大統領をクーデターという形で軍が大統領を国外に連れ去る方法が本当に正しかったのかは疑問だ。元大統領が法律違反を犯したのであれば、何故法の下で彼を裁くという方法が取られなかったのか。何故軍ではなく警察が彼を捕らえなかったのか。中立に裁けないのであれば国際的に彼を裁くなど、あくまでも法に則った形での解決策はなかったのか。その裏には、元大統領が仮に法の下に裁かれるとなると、現在の暫定大統領である元国会委員長も罪に加担していたとして捕まることになるから(2人は同じ政党の元親友)、避けたいという思いも見え隠れするが、元大統領が行ってきた様々な罪を声高に叫ぶのなら、法の下で全てをきっちり裁けばよい。

さらに今回のクーデターの裏には2002年に起こったベネズエラのクデーターの二の舞は踏まないようにしようとするアメリカの意思の表れとブッシュ政権とは違う穏便・対話路線を打ち出すオバマ政権の意図がよく見える。そして、中南米左傾化を食い止めようとするアメリカのクーデター支援も見え隠れしている。第一、この国の人たちだけでは、あんな絵に描いたようなある意味「完璧な」クーデターは不可能だろう。エクアドルボリビアのように左傾化を進めようとするベネズエラニカラグアの元大統領支援も激しく、これは単なる一国のクーデターではなく、中南米諸国とアメリカがこれからどこに向かっていくのかを左右する出来事となっているため、今後を見据えたアメリカ・ベネズエラの思惑が見え隠れしている。政治ってなんなんだろう?グッドガバナンスってそもそも存在するんだろうか?民主主義って?資本主義って?社会主義って?色々と考えさせられている。

書きたいことはまだまだあるけど、花金だからね。本日はここまで。