片道15円のバス旅行

tomokito2015-07-19

今日も朝からインジェラ。朝の空気がヒンヤリ冷たくて新鮮。そうだ、ここは2000m級の高地だ。

今日は朝からバスターミナルに行って、ローカルバスでブルーナイルの滝を目指す。バスターミナルへの行き方を聞いたら、連れてきてくれた人がチップを要求してきたり、ブルーナイル行きのバスを聞いたら日曜はバスがないと嘘をつかれたり、自分の友達がやっている旅行代理店で安いバスを紹介してやるとしつこくつきまとわれたり、やっぱりここは途上国。ブルーナイルの近くの村まで行くバスを探すだけで30-40分かかってぐったりしたけど、バックパッカーのように回り道しながら旅してる感じが心地よくもある。結局は私達の根気勝ちで、ちゃんとバスが見つかったし。

エチオピア人疲れるわ!と思ったのも束の間、バスの乗客達はみんなとても気持ちのいい人達だった。つきまとまわれたことを同情してくれたり、バス代を嘘つくことなく教えてくれたり、目的に着いたらちゃんと場所を教えてくれたり。外国人を騙そうとするエチオピア人と善良なエチオピア人。このレンジの広さが旅そのものだ。

ローカルバスの旅は延々と道沿いで暮らす人達の生活を映し出していた。目が合うとにこっとしてくれる少女やはにかむ少年。手を振ってくれる子ども達。自転車を修理するおじちゃん。牛を飼い慣らすおっちゃん。マンゴをほおばるお姉ちゃん。生きてるそのまんまの姿を垣間見させてもらえるのも、旅そのものだ。バスは途中でエンストした。乗客みんな一旦降りて、男達でバスを押す。唯一の外国人である夫が率先してその一群に加わってバスを押すと、回りの乗客がウンウンと頷いて、ありがとうと言っているように微笑んでくれた。こうしたバスでのちょっとしたハプニングも、ギュウギュウすし詰めのバスも、しつこい物売りも、バスの中のキリスト教の絵も、私には旅の懐かしさだけど、夫には全てが新鮮らしい。私にはそれがまた新鮮。

ローカルバスは、結局1時間半くらい乗って3ブル(15円)だった。タクシーをチャーターすれば多分30分くらいで行けるけど、乗客とのふれあいも、物売りとの押し問答もない。エンストしている間にエチオピア人とのんびり喋ることもない。私達には安くて長いのんびり旅が合っている。

到着した村からてくてくハイキング。村人に道を聞きながら道を探し当てて進んでいると、ものすごくたくさんの人達が集まっている場所を通り過ぎた。どうやら村のお祭りらしい。ものすごい量のインジェラがその場で作られていて、みんなが白い衣装を身にまとっていて、その雰囲気が圧巻だった。そこに紛れ込んだ日本人2人はあっという間に注目の的。大人気者になれた。はにかみながら写真に向かって微笑んでくれる子ども達がまたかわいい。

ブルーナイルの滝までは山道を30分。最後はドロドロのぬかるんだ道を滑りながら進む。同じバスでやって来たエチオピア人家族が私達を見つけて駆け寄ってきて「この辺りには、外国人を騙そうとするエチオピア人がいるから注意してね」って。やっぱり人間の幅は広い。滝は豪快でマイナスイオンの宝庫だった。帰りはボートで帰れるというので、ボートで帰るというエチオピア人家族に着いていくことに。結局彼らと一緒にバス乗り場までお供して、バスを待っている間に地元で有名だというハニーワインまでご馳走してもらう。みんな優しいな。甘くてほろ苦い飲み物だった。

バハルダールの町に戻って、ドロドロになった靴を磨いてもらう。エチオピアの道には至るところに靴磨きがいて、多くのエチオピア人が靴を磨いてもらっている。靴は常にキレイに保っておくべきという靴に対する清潔感が日本よりも全然高いことに驚いた。革靴だけじゃなくて、運動靴も洗ってくれるとは。私達がお願いした靴磨きのおじさんは、靴磨きの仕事にすごく誇りを持っていることが伝わってきて、その凛とした仕事っぷりにとても感銘を受けた。ずっと見ているともう泣きそうなレベルの自尊感情だった。エチオピアで一番感動したことかもしれない。

道行くエチオピア人がみんな気さくで、これからの旅がますます楽しみになってきた。