生きているということ

最近、生きているとはどういうことなんだろうとよく考える。寝る前に、このまま息を引き取ってもそんな自分に気がつかないだろうと思ったり、何気なく町を歩いたり何かを考えたり誰かと喋ったり愛する人と時間を過ごしたりそんな日常を過ごしてるってことこそが生きてるんだと思ったり。大好きな谷川俊太郎の詩「生きる」をそらんじてみたり。

小さい頃から死ぬということになんとも言えない恐怖と未知のものに対する得体の知れないある種の興味を覚えていた。でも、今は死ぬということよりも生きているということ自体がどういうことなんだということにもっと深い謎を感じていて、日々妄想の合間に生についてよく考えている。

そんな折、ずっと見たかった河瀬直美監督の「殯の森(もがりのもり)」をDVDで見た。生と死の狭間が深い愛情の中に描かれていて、これだと思った。私が最近考えていた諸々が言葉にならない映像と行間で語られていて、生きているということと死んでいるということの曖昧さや焦がれる想いや振り切れない苦しみがなんとも言えない形で迫ってきて、嗚咽するように泣いた。夫も激しく泣いていた。

ちょっと前に生と死について話をしていたとき、夫が言った。「人間って生に対する強い願望と同じくらい強い死への願望があるんだろう」と。映画を見終わったときにその時の言葉をふと思い出した。死に向き合うということは、同じくらい強く生きるということを意味する気がする。

https://www.youtube.com/watch?v=3QGWJBriULI:MOVIE