夏の終わりに「夏の終わり」

tomokito2013-09-09

鼻水はまだ止まらないけど、文化的なものに触れたくて、夜「夏の終わり」を見に行く。これ、瀬戸内寂聴の自伝的小説が映画化されたもので、予告を見てからずっと行きたいと思っていた映画だったのだ。

ストーリーはよくありがちな三角関係を描いているのだけど、ストーリー自体より主人公の心の葛藤が印象的。満島ひかりの演技がとにかく秀逸なのだけど、妻子ある男性を愛しながら、彼が妻との間を行ったり来たりしていることをふっきっているようでいて、実は寂しい。その寂しさを紛らわせるために、昔自分が駆け落ちした元恋人と寄りを戻してしまうのだけど、結局のところ満たされない愛情を他の愛情で埋めることに限界があることを彼女自身が感づいていて、でも他の何で埋めたらよいのか分からないのだという心の機微が切なかった。いやらしい描写がないからこそ、引き立たてられているものがあった。映画を見たからこそ原作を読んでみたいと感じる映画でもあった。

夏休みが終わると子ども向け映画が映画館から少なくなるので、私としてはありがたい。