ユーコン川6日目

tomokito2011-07-23

  • 本日走行距離:40km
  • 全走行距離:292km
  • 残り:20km

一緒にキャンプした2組のカナダ人夫妻は肩肘張らずに熟年休暇を楽しんでいて、とてもステキな人たちだった。男性はアーティストと大学の美術の先生。いつか気付いたとき、あんな風に歳を取っていたい。

カナダ人たちを見送って、のんびりキャンプサイトでの朝ごはん時間を楽しんでから出発。今日も流れに乗って、釣りをしたり、ビールを飲んだり、ハーモニカを吹いたりしながらカヌーは進む。ゴールまでの距離が分かり、感覚が掴めると、焦らなくなって、よりこの川の時間を楽しめている気がする。

川の上では歌を歌ったり、他愛もないことを喋ったり、時には愛について語ってみたりしてるけど、なんと言ってもユーコン川には音がない。ふと周りの音に耳を傾けると、砂がカヌーにぶつかる音と時折さえずる小鳥の声と風のそよぐ音以外、そこには何の音もない。そして、自分たちがいかに普段音に囲まれて生活をしているかを感じる。音がないことの新鮮さとここちよさ。音を遮ってなくすのではなくて、デフォルトがゼロに近いという空間がなんとも言えず快感だ。

この旅最後のキャンプサイトに到着。なんか切ない。最後の夕暮れを精一杯満喫すべく、河原にイスを出し、夫が描いた風景画に色を足したり、釣りをしたり、狂ったようにハーモニカを吹きまくったり、コーヒー&クッキーのティータイムをしたり。そうこうしていると、まさか釣れないだろうと垂らしていたフライに魚が食いつき、見事今日の晩ごはんとなるグレイリングをゲット。今まで、海釣りで釣ったことはあっても、フライで魚を釣ったのは初めてだったので、かなり興奮。だって、あのきらきら光ってくるくる回るだけの仕掛けに魚が食いつくんだよ?ロマンだ!それを見た夫も書きかけの絵をほっぽり出し、釣りに興じるもあたりはなし。釣った魚の匂いに釣られて熊がこないよう、川の中で頭を切り落とし、内臓を出し、塩をまぶしてアルミホイルにくるんでから、Ziplockで保存。晩ごはん時には、魚を焚き火の中に突っ込んで、アペタイザーのできあがり。次回来ることがあれば、絶対にもっと釣りをしたいと誓ったのであった。釣ったモノをその場で食べるって最高の幸せだよね。

こうした生活にも慣れ、辺りでガサゴソと音がしてもビクビクしなくなった。常に持ち歩くべき熊スプレーも時々忘れてしまうようになった。森の中の自然トイレもむしろ快適だ。川での水浴びも気持ちいい。爪が真っ黒で、鼻の頭の皮がぺろっとめくれていても気にならない。ふと森見登美彦の一説を思い出す。「地に足をつけない生活をするのだ。そしたら簡単に飛べる。」

  • 朝ごはん:クリームスープ、ローストビーフ&レタス&キュウリ&ベーグル、
  • 昼ごはん:ベーグル、赤ピーマンのディップ、ローストビーフ&レタス&キュウリ&チーズ&ピタサンド
  • 夜ごはん:魚のホイル焼き、ソーセージナポリタンパスタ、おみそ汁