ユーコン川5日目

tomokito2011-07-22

  • 本日走行距離:48km
  • 全走行距離:252km
  • 残り:60km

この川下りにあたって、GPSなんて近代的なものは持ち合わせていない。川の手書き地図を購入し、それを逐一確認しながら位置確認をしている。微妙な蛇行とか岩肌とか浅瀬とか小島とかをかなり細かく書いているのだけど、似たような景色が延々と続くので、ふと気を抜くと自分が今どこにいるのか分からなくなってしまいそうになる。その手書きの地図に、ExcellentキャンプサイトとGoodキャンプサイトとPotentialキャンプサイトとかの場所が記載されているんだけど、キャンプサイトといってももちろん看板なんてどこにもなくて、手がかりは着岸できるスペースがあるかと、着岸した後に人が登った跡や段差があるかどうか。そこをのぼるとテントがはれたり、焚き火をしたりできるスペースがあって、いいサイトになると大きな木が切られて丸太イスになっていたりする。でもこのキャンプサイトは川からは見えず、探すのにかなり手こずるので、いいサイトに出会ったときの喜びはひとしお。昨晩泊まったサイトはとても気持ちのいいところだったので出発は名残惜しかった。

ついでに書くと、カヌーは後ろに座る人が舵取りで前に座る人がパワー。私が後ろで夫が前。基本的には前の人が地図担当。2人ともかなりの地図好きだけど、どちらかというと私よりも夫の方が地図読みに向いていた。私、地理学科だったのにな。ヨットもそうだけど、カヌーを漕いでいてロマンを感じるのは、何よりも全て自分たちの力だけで動いているというところ。エンジンとかモーターとかそんなものでなく、川の流れと風の力と人間の漕ぎだけで進む。時にはその3者が相反しながらも、でも必ずや前に進む。世の中の人はこれをロマンチックとは呼ばないかもしれないけど、私にとっては、これこそロマンでロマンチックだ。

ユーコンに入る前は、テスリン川上流のような透明度がなくなり、川は濃い黄緑に変わっていたのだけど、しばらくしてまたきれいな川に戻ってきた。無数の砂がカヌーの底にあたって、パチパチと不思議な音を立てる。小さな砂のマラカスみたい。途中、適当な浅瀬にカヌーをつけてお昼ごはんを食べていたら、カナダ人の夫婦2組がカヌー2艇で下っていて、私たちを岸に見つけて寄ってきた。みんな、新しい出会いとか人とかが珍しくて嬉しくて、お互いに尻尾フリフリすり寄っていくっていうのかな。その内の1人は日本で英語を教えていたことがあり、娘は日本への留学経験もあるという。

結局彼らとは抜きつ抜かれつを繰り返し、同じキャンプサイトに泊まることに。早くにサイトに到着したので、水着に着替えて水浴び。ここでは、もちろんお化粧なんかしてないけど、洗顔で顔を洗うこともなければ、シャンプーで頭を洗うこともない。川に流しても問題のないエコソープで体と頭と顔と前半の洋服を一緒に洗う。水曜どうでしょうユーコン川下りでは、大泉洋が「お皿も顔も体も一緒の石鹸ってそれおかしいでしょ!」って言ってたけど、まさにこれがそう。全部一緒こたんなわけで。

テントの前にイスを出して、重松清を読みながらうたた寝とか。「郊外の駅前にあるコンビニ前にたむろする不良たち」とか書かれていても、ここじゃいまいちピンとこない。そしてピンとこない状況にいる自分がここちよくもあり。晩ごはんは、カナダ人たちが作ったインドカレーを分けてもらう。幸せだ。

  • 朝ごはん:クリームスープ、ハム&チーズ&レタス&ベーグル
  • 昼ごはん:ベーグル、赤ピーマンのディップ、トマト、チーズ
  • 夜ごはん:インドカレービーフシチュー、レタス&キュウリ&トマトサラダ、豚汁