複式学級

tomokito2008-07-02

この2週間で5-60の学校を回ったが、田舎を中心に回ったせいもあり、1学年に1人ずつ先生がいる単式学級は数えるほどで、ほとんどの学校が複式学級だった。

統計によると、この国には約13,000の小学校が存在するが、そのうち学校に1人しか先生がいない学校が約3,000校、先生が2人の学校が約2,500校で、先生が1人か2人しかいない学校が全体の40%強を占める。つまり、1クラスに3学年以上の子どもが混在する複式学級が全体の半分近くということになる。登録上は教員として数えられているものの、実際は地区事務所や県事務所職員に出向していたり、1人の先生が名前を変えて複数の教員が存在するように登録されていたりするため(給料を複数分もらうため)、実際の複式学級は統計よりもずっと多いだろう。

複式学級になると複数の学年の児童を同時に教えなくてはならないため、自己学習の時間が多くなり、必然的に教育の質は落ちると言われている。かといって、複式学級を減らすために学校を統廃合すると、その分子どもたちの通学時間や通学距離が増え、家から学校までの距離が遠いために学校に通わない子どもや、長い通学路上で生じうる事故や事件を恐れて子どもを学校に通わせない親も増え、結果的に就学率が減ることが予想される。学校の数を減らしてでも学校あたりの教員数を増やすべきなのか、子どもの通学距離や安全性を考え複式学級にしてでも学校は作るべきなのか。正しい答えはないだろう。

ただ、各学年毎に机がまとめられ友達同士が教えあいながら学んでいる姿や、1番前の列で1年生がスペイン語の単語を一生懸命唱えている後ろで6年生が黙々と算数を解いている姿は、教育の質とかそんな言葉では表されない何かを映し出しているように見えた。教育の質がいくら下がっても、子どもたちが学ぶ楽しさを感じたり、友達同士が助け合えるのなら、複式学級のままでいいかもしれない。