色んなかたちの繋がり方

毎年年賀状だけをやり取りするという人が何人かいる。ほとんどが旅で出会った人たちだ。

その中の1人、ひでぢから今年も年賀状が届いた。彼と出会ったのは10年くらい前の竹富島ユースホステル。私は親友と沖縄の離島を旅していて、彼は自転車で日本一周の旅をしていた。自転車で旅をする、そんな楽しい生き方があるんだと知った。沖縄がスタートなのになかなか沖縄から出られないんだと笑っていた。いつか私も自転車日本縦断旅行をしたいと思ったのは、きっとこの人との出会いがあったからだろう。

そしてその翌年、私は会社を辞めて協力隊に行くことになり、しばらく住んでいた徳島を離れる前に、自転車で四国八十八箇所巡りをすることにした。特に信心深いわけでもなかったけれど、四国を自分の足で回っておきたかったし、グアテマラに行く前に自分の人生を振り返り、これからを考えるきっかけにしたかった。協力隊を帰ってきてから自転車で日本を縦断するための前哨戦にもなると思った。亡くなったおじいちゃんと友人の写真を持って、3週間くらいかけてお寺を回った。

八十八箇所巡りをしている途中、お遍路さんのために改造された無料廃バス宿泊所に泊まったことがある。使われなくなったおんぼろバスが空き地にあって、その中に湿っぽい布団が積まれてあり、勝手に入って寝ていいというところ。そのバスの壁にお遍路さんたちのメッセージがところ狭しと書かれてあって、何気なくそれを読んでいたら、なんとその落書きの中にひでぢの書き込みがあった。確か「自転車日本一周中。ひでぢ参上!1999年○月」みたいなことが書いてあったように思う。バスの中で1人興奮し、不思議な再会がやけに嬉しかったのを思い出す。

人は色んなかたちで繋がる。人と人が顔を会わせることはとてもステキなことだけど、それが全てじゃないと思ってるんだ。