政治的な人事異動

今回クーデターによって政権交代となったわけだけど、大統領が変わると各省庁の大臣だけでなく、次官、主要局長がほとんど変わる。日本では、政権交代で変わるのはせいぜい大臣くらいだけど、こっちの場合は日本でいうところの大臣、副大臣、部長クラスが全て変わる感じだ。さらに、新しくこれらのポストに就く人達は、長年その省庁で働いていた人ではなく、新しく外から連れてこられた大臣の知り合いか政治家であることが多い。また、今回初めて知ったのだけど、政権が変わるごとに各国に送っている大使も変わる。さらに大使ポストは通常の給与体系ではなく、大統領がある程度の裁量で給与を決定できるらしい。言ってみれば、外務省職員が大使になるのではなく、日本の首相が自分の近しい人を大使として任命し、さらに大使の給与も決めるってこと。

この国の問題は、こうした人事配置があまりにも政治的であることだろう。政権が変わるごとに人がごっそり入れ替わるので、なかなか継続性・持続性のある事業が展開できないし、新しい人達は前政権がやってきたことを「否定すること」が彼らの存在意義となるので、事業実施の基準が根本的に違ってしまう。また、そうした体制では20年後、30年後の国の将来を見据えた仕事はなかなか難しい。

じゃあ、日本のようにその機関に長年働いてきた人が次官や局長になるべきかと言うと、この国には公務員雇用試験があるわけではなく、口利きやコネがモノを言う世界なので、長年公務員として働いている人が必ずしもそれなりの競争試験を勝ち抜いてきた能力のある人とも限らない。また、どんなに頑張っても局長以上の職には就けないと分かっていたら、モチベーションだってあがらないだろう。

今日は、帰国あと2ヶ月の状態で3回目の引越し、4つ目の執務室。これってこの国の人事みたいだよなぁと思いながら、新しい部屋で答えの出ない諸々を悶々と考え続けていた。