いきなり洗礼を受ける

職場を移動して2日目。朝一に、隣の部屋の同僚がやって来て「教員組合によって建物が占拠されそうだから、20分以内に荷物をまとめて退去だって」と。おろおろしながら荷物をまとめ、車に乗っていざ出ようとすると門が中からも外からも施錠されて出れない。省内にいた全員が閉じ込められてしまった。

この国では教員の一部に給与が支払われていないことが問題となり、教員組合と教育省が対立している。国会と県事務所が勝手にタグを組んで教育省の知らないところで勝手に大量に教員を採用してしまっていて、予定以上の教員数となっていることが問題だ。もともとそんな増員教員分の給与予算は確保されていなかったので、増員分給与が支払えない状況に陥っていて、組合が教育省を占拠。この国では問題があればなんでもかんでもデモと占拠だから、びっくりすることもないんだけど、自分自身が巻き込まれるのは初めての出来事で怖かった。1時間以上敷地内から出ることが出来なかっただけでなく、駆けつけた警官と組合がもめた末、敷地に催涙弾が投げ込まれ、私は車の中に逃げ込み、その後施錠をスパンで切って押し入ってきた警官と組合が押し問答を続けた挙句、数人が逮捕された。そのいざこざが、私が乗っていた車の目の前で行われて、息が詰まりそうだった。

なんとか最後は警察部隊に誘導されながら敷地から出ることが出来たが、落ち着いて仕事が出来るということはどれだけ恵まれたことなんだろうか。この国では、仕事の前提条件を揃えることがとても難しい。