「人のセックスを笑うな」

ずっと気になっていた山崎ナオコーラの「人のセックスを笑うな」。私好みな映画だった。

映画にストーリー性を求める人には向かないだろうけど、私はこういう日常感漂う自然体な映画が好き。ドキドキする展開よりも、どきっとするような一瞬の仕草や動作、言葉、演出にくすぐられる。この監督のカットの取り方がまたいい。わざと画面からはみだしたり、映さなかったり、カットがやけに長かったり、言葉も風景もなんかだらだらしていたり。かっこよすぎない俳優を選ぶ役者の使い方もいいし、何より役者そのまんまを演出に使っているのがいい。これは私の好きな是枝監督ときっと同じ手法で撮っていると思うのだけど、役者が演技をしているという感じが全くしないのだ。本当に日常にいるカップルのそのままを横から垣間見ている感じがする。

でも「この映画良かったよね」って話したいのに、題名がややセンセーショナル。映画を見ると、タイトルが言わんとしていることがなんとなく理解できるから、それはそれで構わないんだけど、こっちの仕事関係の日本人とかと話すとき気軽に話しにくいタイトルでやや困る。「人の、セ、セ、セッ、セックスを笑うなって映画、すごくいいですよ」とどもってしまいそうで。

ちなみに英語タイトルは「Don't laugh at my romance」。「Don't laugh at my sex」じゃないのね。