恩師からのお漬物

郵便ボックスをのぞくと、高校時代の恩師から小包が届いていた。色んな種類のお漬物に日本のお菓子とか。昨年末送ったクリスマスカードに「今食べたいもの:お漬物」と書いてあったのを見て、買って下さったのだろう。なら漬けは地元の酒蔵で、椎茸入り昆布は松前屋で、とろろ昆布は神宗でと色んなお店に買いに行って下さったのがうかがい知れて、じーんとくる。

世界史の先生だったこの先生は、いつも民族衣装のようなだぶだぶのワンピースを着て、よく自分が旅した国の話をして下さった。時には自分が旅先で撮った写真や、出会った人や、持ち帰ったオリーブの実や砂を授業に持ってきては、世界がいかにおもしろく限りないものかを脱線しながら話してくれた。授業中、仏像や絵画が多く掲載された世界史資料集を使うことはあっても、教科書を開くことはほとんどなかったように思う。「お金は借りてでも、世界を見に行ってきなさい!」先生が何度もそんなことを言っていたから、私は時間を見つけては旅するようになったのだった。

先生からの心のこもったお漬物。もったいなくて、すぐには食べられそうもありません。