約束の旅路

久しぶりに相棒と映画。エチオピア、フランス、イスラエルを舞台にした「約束の旅路」

映画を見ながら世界史で習ったことを思い出してたんだけど、昔エチオピアにはユダヤ人がたくさんいた。そして1984年、イスラエル政府はエチオピアに住むユダヤ人を帰還させるモーセ作戦を決行。1万人を超える人たちが歩いてスーダンの難民キャンプに向かい、スーダンからイスラエルに送られたという。この映画は、生きていくためにユダヤ人と偽って母親にイスラエルに送られる少年の成長を描いた話。フランス語の題名は「Va, vis et deviens」「行け、生きなさい、そして生まれ変わりなさい」という意味らしい。

家族と離れた辛さ、痛いほどに母親を想う気持ち、ユダヤ人と偽っていることへの罪悪感と葛藤、黒人と罵られいじめられる苦しみ。彼の気持ちを日本人である私が理解することは出来ないけれど、でもその痛みは苦しい程に伝わってくる。その痛みを和らげてくれるのが、養父母の大きな愛であったり、恋人の真っ直ぐな愛であったりする。痛みを和らげるのは愛でしかないのだ。学校でいじめられている息子を前に、母は「私の息子は世界一美しいわ」とみんなの前で叫んで顔中にキスをする。あまりにあけっぴろげでストレートな愛に涙がぼろっとこぼれた。

このラデュ・ミヘイレアニュ監督はチャウシェスク政権下のルーマニアからフランスに逃れた方だという。映画に詰め込んだ色んな想いが画面の表裏に表れていた。上映劇場は非常に少ないけれど、お薦めです。

帰り道、やっぱ映画はいいねーと話しながら2人で中華を食べに行ったんだけど、中華丼と五目あんかけ焼きそばを頼んだら、どっちも同じ味だった。どちらもあんかけだなんて気付かなかったよ。