困窮邦人

水谷竹秀の「日本を捨てた男たち」というルポを読んだ。フィリピンに生きる困窮邦人を追った話。文章はやや荒削り。でも色んな現実に引き込まれた。

海外に日本のホームレスが一定数いるという現実。多くの男性はフィリピンパブの女の子にはまり、家庭や仕事や日本の生活を捨てフィリピンに彼女たちを追いかけていき、そこでお金や夢や生活を失って困窮していく。

日本人妻や子どもを捨て、退職金を全部持ってフィリピンに渡った男性の元妻の手紙が泣ける。「あなたの心わからないなんて妻として失格。だめな女房ですいません。」と。「26年間、あなたにとってはつらい日々であったんですか。つまらない時を過ごしてきたんですか。私をえらんでもし後悔しているならごめんなさいとあやまりたいと思っています。(中略)私、欠点だらけです。悪いところどしどし言って下さい。なおします。」30歳近く年下のフィリピンの女に走った夫に対して、なおも自分を責める妻。読んでいるこちらが辛かった。

自ら日本を捨てたんだから、海外で一文無しになって困窮したって自業自得だと言いたい。でもそう思いつつ、彼らのことが気になる日本人がここに1人。