オークンチュラーン

tomokito2016-12-07

2003年から2004年にカンボジアで働いていた。孤児や人身売買、ストリートチルドレン、ネグレクトなど様々な事情を抱えた子ども達が住む施設で、日々泣いたり笑ったりした日々。今まで色んな国に住んできたけど、一番心の喜怒哀楽が触れた国だった。

あのとき20歳だったソクドルがなんと今週日本にやって来た。彼は技術を学ぶ専門学校に通っていて、施設の中でも一二を争うくらいに真面目で勤勉な優等生だった。12年ぶりに会った彼はやっぱり誠実で真面目で控えめで、あぁ、あのときのまんまだ。技術学校を終えてから日系企業で勤続10年。きっと企業でも信頼を勝ち得ているに違いない。懐かしいあの頃の仲間やスタッフの懐かしい話、カンボジアの食事や町、全てが懐かしくてなんだか切ない。

目の前でお好み焼きを焼いてくれるお店に行って、ヤキソバとお好み焼きを半分こ。彼が言う。「僕、日当もらってるからおごるよ」。泣きそうになった。ダメに決まってるやん。こうやって連絡をくれて会いたいと言ってくれることだけでどれだけ私が嬉しいことか。胸が張り裂けそう。

あの頃は、子ども達の人生を目の当たりにするにつけ、彼らの悲しみや怒りや苦しさを抱えきれなかった。そして、私なんかより彼らの方が100倍苦しくて、そんな事実を受け止めきれないこともあった。でもこんなご褒美がある。こんな風に成長して一家の主になって、社会にまみれて一生懸命働いている大人に会える。仕事を超えた喜びがそこにあった。