鴨志田穣「遺稿集」

tomokito2015-12-06

珍しくのんびり過ごす日曜日なので、読みかけていた鴨志田穣の「遺稿集」。

飲み過ぎのアル中だった彼が日々血を吐き、顔がどす黒くなっていく描写は中島らもを彷彿させるものであったが、この本の最後に西原理恵子との邂逅を振り返ったとき、自業自得でしょうと思っていた彼に対してものすごく切ない気持ちがわき起こってきた。どうしようもない程の人だけど、そんな人だからといって愛を持たないわけじゃない。持っている愛を素直に表現できない究極の不器用者なのだ。このくだりを遺稿集の最後にもってくるなんて憎すぎる。

西原理恵子の漫画にあまり興味はなかったし、彼がこの本で描く西原理恵子は毅然と男前な女性であって、その裏にある優しさがそのまま描かれているわけではなかったけど、この本を通して西原理恵子はすごく人間らしくて好きだと思った。