新しい主人

アルゼンチン出張に行くにあたって、遂にスペイン語機能が搭載された電子辞書を買った。動詞をひくと、動詞の活用が全部出てきたりしてすごく便利なので、ついつい新しいコイツを可愛がってしまってるのだけど、ここ最近古い電子辞書がすごく寂しそうなのが気になっている。そして彼は明らかに拗ねている。

この古い辞書は私のイギリス生活を支えてくれた心強いやつで、まだまだ現役バリバリだし、私の疑問に対して常に即答で答えてくれていたのに、お役ご免で使わなくなったのが申し訳なかった。この愛おしい彼を引き続き可愛がってくれる新しい主人を探していたのだけど、つい最近その新しい主人に名乗り出てくれた友人がいた。なので、今日はその贈呈式。今まで登録しためた単語帳や履歴を一挙に消すため、沖縄料理やさんにあった爪楊枝でリセットボタンをギュッと押す。数秒の間があって、彼は真っ白になった。新しい主人を迎える準備が整いましたよ、言わんばかりだ。

電子辞書の贈呈式を終えたところで、友達が最近よく聞いているというNickelbackの歌をウォークマンで聴かせてくれた。そしてこの友達が言う。「英語を耳から覚えるために、今日は通勤の間ずっとこの曲をリピートで聴いていたんだ」と。そして、歌詞の中のある単語を電子辞書に打ちこんで、嬉しそうにその単語を眺めていた。なんだか嬉しかった。新しい主人は、私以上にこいつを可愛がってくれそうです。彼をどうぞよろしくね。

今日飲んだ沖縄料理やさん、リクエストに応じて三味線で沖縄の曲を弾いてくれると言うので、「島んちゅの宝」と「イラヨイ月夜浜」を弾いてもらう。イラヨイとは宮古島の方言で「愛おしい」「なつかしい」という意味らしいんだけど、イラヨイマーヌと歌いながら辞書もこの友達も愛おしくなり、調子よく飲み続け、一体何杯飲んだのか分からなくなる。グルグルグル〜、ってなわけで今日も幸せな夜です。